◆ 五十五段の階段 ◆


親愛なるウォルフへ


久しく顔を見ていない気がします。元気でやっていますか?仕事は順調ですか?
上層からル・ルデへのたった五十五段の階段が、こんなにも遠く感じるものなのですね。


最後に会ったのはいつだったか―――たぶん、あの雨の夜でしょうか。

探し物は見つかりましたか?
あまりキミの仕事のことは聞かないけれど、色々と大変なのだと思います。


あのとき言いかけた言葉は何だったのか・・・今でも少し気にかかっています。
キミは責任感が強いから、きっと言えずにいる事が沢山あるのだろうね。


でもどうか無理はしないで、たまには巡回のついでに診療所へも顔を見せに来て下さい。
大した持て成しはできないけれど、美味しいお茶くらいはご馳走しますよ。

以前、寝つきが良くないと言っていたから、カモミールティーを用意しておきます。



では体を大切に。

私はいつでもキミの味方でありたいと思っているよ。


                                               Monberaux





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