◆ Sanctuary (聖域) ◆ No.2


獣人支配のアウトポスト。
ガードの詰め所となる建物にも今は人影が無い。
明かりを点けぬ薄暗い部屋の中で、簡素なベッドが軋んだ音を立てる。

「寒くないか?」
「さむい」

床に散らばった装備と膨らんだ毛布。
濡れた体を温めるように、脱衣した二人が重なり合っていた。

「火を熾すか」
「いい」

起き上がりかけた男を制し、少年は触れ合うほどに唇を寄せる。

「いいから、もっとあんたの熱を分けてよ」

これは始まりの合図。
穢れた快楽への誘い水。






浅黒い大きな掌が、きめ細かい肌を優しく撫でる。
胸の小さな突起を摘み上げられ、少年は小刻みに身体を震わせた。
硬く芯を持ったそれに舌を這わせれば、熱い吐息が漏れ始める。

「っは…ぁ……」
「……まだ、名前を聞いていなかった」
「どうせ…すぐ、忘れる…」

肌の上を滑る指が、少しずつ下へ下へと下りて行く。
少年はじれったい刺激に腰を揺らして、甘えるように耳元で囁いた。

「じゃぁ……好きな、名前…つけて」
「なぜ?」
「あんたが、主だから…」
「俺が?」
「んっ、あぁっ」

緩く勃ち上がり始めた中心に触れられ、強い刺激に歓喜の声を上げる。
男は先端から溢れる蜜を絡め取り、その指で後ろの蕾を押し開いた。
熱い内側を解すように掻き混ぜて、奥の方まで犯していく。

「はぁっ……ぁ、んた、が…俺を……拾ったん、だ…」

込み上げる快感に息が詰まり、切れ切れの言葉が男を煽る。
果たして、魅了されたのはどちらだったのか。
男は少年の脚を大きく割り広げ、露になった秘部に熱い塊を押し当てた。

「っぁああああっ!」

反射的に逃げそうになる少年を押さえ込み、腰を掴んで最奥まで突き入れる。
千切れそうなほど強い締め付けに眉を寄せながら、激しく前後に律動する。

「あっ、あっ、ぁ、んっ…」

男の動きに合わせて、喉の奥から艶かしい声が押し出される。
腰が浮くほど折り曲げられた身体は、揺すられるたびに爪先が跳ねた。
肉のぶつかる音と卑猥な水音が混じりあい、聴覚からも追い立てられる。
互いの熱と快楽を貪りながら、男と少年は獣のように交わり続けた。










深く身体を繋げたまま、二人はきつく抱き合っていた。

「中…熱いな」
「このまま、あんたを溶かしてしまえればいいのに」
「…溶かしたものを壷に詰めて、【よびだす】のか?」
「なにそれ…」

くだらない冗談。
くすくすと笑い合いながら、啄ばむ様に口付けを繰り返す。

「ダメだよ、それじゃ使い捨てだ」
「じゃあ永遠に魅了が切れないように、操ればいい」
「永遠なんてないよ」
「そうかな?」
「ないよ」
「そうかな」
「ぁ……」

交わす睦言も甘美な媚薬。
醒めない熱に浮かされながら、罪深き欲の淵へと墜ちて行く。






ここは忘れられた神の聖域。
悔悛と冒涜の雑じる場所。




Fin

*あとがき*
たまにはエロ小説もUPしなくては!と、つい勢いで書きなぐった短編です。
何となく自分の好きなもの(聖地ジ・タとか獣使いとか)を盛り込んで書いてみましたが、なんだか痛々しい雰囲気になってしまいましたね・・・ははは
イメージとしては、「人さえも魅了する高いカリスマを持った獣使いの苦悩と懺悔」・・・とか・・・みたいな・・・
いや、特に深い意味は無いです、はい。 適当に流し読みしてください;(逃)
2008/12/15


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