◆ Cherry ◆ Vol.1-4


「イッ・・・ちゃっ、たっ・・・」
 パタリと上体を倒し、さも気持ちよさそうに伸びをするラビを尻目に、リュックは汚れた手を残った酒で洗い流す。
「なに終わったような顔してんだよ、俺まだだかんな」
「ぇー・・・」
「えーってなんだよ」
「ほらぁ、一回イっちゃうとさー・・・ダルイっつーか、ちょっと冷めるっつーか?分かるだろ?」
「分かるだろ?じゃねーよ、この早漏」
「んだとコラ!」
「事実だろ」
「俺は早くねぇ!」
「誰と比べて?」
「・・・しらねーよ・・・」
「少なくとも俺より早かったよな」
「ああぁぁーも――!だから先にイキたくなかったのによおお――!」
「いいから早くやれよ」
 リュックは自分のモノを取り出してラビに見せる。
「やだ何このケダモノ」
「しばくぞてめぇ」
「怒んなよぉ〜・・・て、そんなおっ勃てたチンコ丸出しで怒られても怖くねーけどwww」
 ラビはゲラゲラと大笑いして転げ周り、一向に続きを始めようとしない。
 その様子に痺れを切らしたリュックは、ラビの上に乱暴に圧し掛かった。
「やんないなら突っ込むぞ」
「へ?」
「ケツ貸せよ」
 ニヤリと笑って見せると、ラビは顔を引きつらせて暴れ始める。
「じょっ、冗談!掘られてたまるか!」
 ジタバタともがく姿が面白くて、もっと脅かしてやろうと顔を近づける。
「お前、すっげーイイ声だしてたし、意外とそのケあんじゃねぇ?w」
「いやぁーやめてぇー!ちゃんとするから掘らないでぇええー!」
 焦ったラビに急所をギュっと握られ、不意な攻撃に息を呑む。
「いっ、つ・・・」
 トロリと白濁した液が零れ落ち、ラビの服の上にシミを作った。

「げぇぇー!お前ここに出すなよ――!」
「うわー!こんなイキ方あるかよ――!」

 二人ほぼ同時に叫び声を上げ、その声は真っ暗な夜の海へと吸い込まれていった。






 旅立ちの前夜―――。

 若い二人は希望と不安で胸をいっぱいにさせて、疲れ果てるまで大騒ぎをしました。
 おそらく二人が翌朝目を覚ましたら、昨夜の行為を思い出して顔を青くさせるのでしょう。
 でも今はまだ宵の宴・・・・・楽しい楽しい、悪ふざけ。


to be continued

*あとがき*
ヴァナディールというファンタジー世界の冒険者を主人公とした二次創作だと、どうしても孤児だとか貴族の出だとか極端な設定にしてしまいがちですが、今回は極普通の家庭で育った極普通の少年たちの思春期をテーマに、BL風味で仕上げてみました。
このお話はこれで完結でもいい気がしますが、その後の二人を見てみたい気持ちもあったりするので、たぶん続編を書くと思います。
2008/08/13


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