◆ 赤の軌跡 ◆ Vol.1-5 |
ピクリと体を震わせ、漆黒の瞳が私を見据える。その潤んだ瞳に吸い寄せられるようにして、唇を重ねた。 ローブの前合わせを割って胸の突起にそっと触れると、レイは弾かれたように私の二の腕を掴んで抵抗を見せる。 しかしその力は頼りなく、大柄な私を押し戻すには至らなかった。 唇から逃げるように顔を背けた首筋に舌を這わせ、軽く吸い上げてやると小刻みに体を震わせてくる。 自分にはこんな性癖があったのかと驚きつつも、この衝動を抑えることは出来なかった。 乱れたローブを更に肌蹴させ、唇を下へとおろしていく。 これは酒のせいなのだ、今の私は酔っている。そう自分に言い訳しながら白い肌に幾つもの赤い華を散らす。 意外にも彼は全力で抵抗してはこなかった。戸惑いと怯えの色を見せながら、逃げ道を探して視線を泳がせている。 おそらく私に恩義を感じている手前、本気で拒絶できないのだろう。 そんな彼の心情を理解していながら、私はそこにつけこんでいるのだ。卑怯なやり方だと自覚しつつも、今の自分を止めることが出来ない。私はこんなにズルイ男だったのかと、心の中で自嘲する。 眠った彼を宿に連れ込み、酒を飲ませ、一つしかないベッドに押さえつける…これではまるで計画通りみたいじゃないか。 いや、もしかしたら私は最初からそのつもりだったのか?だんだん自分の心がわからなくなってくる。 ローブの前を完全に開き、剥き出しの中心に手を伸ばすと、彼は一層身を硬くした。 優しくゆっくりと刺激していくと、手の中で少しずつ形を持ち始める。 「・・・っ、は・・・」 甘い吐息が漏れ始めたので、もっと強く刺激を与えてやる。 「ぁ・・・っん・・・」 擦れてはいたが、確かにレイは声をあげた。声帯がいかれているわけではないようだ。 彼の声をもっと聞きたくて、私は執拗に攻め立てた。 どぷりと手の中に熱が広がり、レイは果てた。 そのぬめりを後ろへ滑らせ、ゆっくりと指を埋め込んでいく。 「ぃ・・・ぁ・・・」 肢体を反らし、シーツを硬く握り締める姿に煽られながら、その熱い内側を探る。 「きついか?」 彼は私の言葉には応えず、じっと行為に耐えている。 「指、増やすぞ」 ぐちゅりと卑猥な音を立てて指をもう一本差し入れると、レイは内腿を振るわせて中を締め付けてきた。 「っは・・・」 「大丈夫、力抜いて」 彼の前が萎えてしまわないよう刺激しながら、同時に後ろを解していく。 私は今まで同性と関係をもったことはなかったが、男性過多の冒険者間では男同士で寝る者も珍しくは無い。 だから知識としてなら私の耳にもそういった情報は入ってた。 「まだ、きついかもしれないが・・・」 埋めていた指を引き抜き、少し緊張しながら幾分軟らかくなった箇所へと自分自身をあてがう。 「入れるぞ」 レイは覚悟を決めたようにキツク目を閉じ、その瞬間を待っていた。 |